避妊相談(緊急避妊)避妊の方法と注意点
低用量ピルの処方、緊急避妊、避妊リングなどのご対応をいたします。
効果的な避妊法は?
女性にとって望まない妊娠は、身体的にも精神的にも非常に苦痛なものとなります。できればあらかじめ受胎調節を講じておくのが得策であることに間違いはありません。
避妊には従来よりいくつかの方法がありますが、信頼のおけるものとしては、IUD(子宮内避妊器具:リング)か経口避妊薬(ピル)になると思われます。そこでここでは両者の利点や注意点について改めて整理しておきます。
IUD(子宮内避妊器具)にはどのような特徴があるのでしょう?
避妊目的で子宮内に装着する器具をIUDと呼んでいます。当初はリング状の器具を入れていたために、避妊リングと言われていましたが、現在はより効果的で副作用が少ない形状のものが開発されています。
IUDは妊娠している恐れのない時期、すなわち生理があって次の排卵が起こる前(生理後7日以内)に装着します。子宮内に挿入するのは簡単で格別辛い処置ではありません。
IUDの最大の利点は、一度装着すればピルのように連日お薬を飲むといった日常のわずらわしさがない点です。当院では通常1年半から2年経ったら新しい器具に入れ替えます。また、改めて妊娠を希望される際には、その時点で抜去すればよいことになります。 ただ、リングは完璧な避妊法とは言えません。だいたい100人の女性がリングを入れて、あとの1年間で4人~5人の方が(リングが入っていても)妊娠する可能性があると言われていますので、そのあたりがIUDの限界と考えられます。ほかにも挿入直後に軽い出血や腹痛を伴ったり、月々の出血量が増えたり、期間が長引くなどの副作用が出る方もいらっしゃるようです。
IUDを安全にお使いいただくためには、ぜひ定期的な健診をお受けになるようおすすめいたします。
ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)
ミレーナとは、黄体ホルモンをしみ込ませたT字型をした軟らかいプラスチック製の避妊器具で、本体から黄体ホルモンが持続的に放出され、子宮内膜が厚くなるのを防ぎ、同時に子宮口から分泌される粘液を変化させ精子が子宮内に入り込むのを阻止して避妊効果を発揮します。装着のタイミングは生理直後に子宮内に挿入しますが、使用する前にクラミジアや淋菌など性感染症に罹患していないかを確認する必要があります。最大のメリットは正しく装着されていると5年近く効果が持続します。また、重ねて生理痛や出血量が多い過多月経にも優れた効能が認められます。5年を迎えるころになったら新しいものと交換する時期をご案内いたします。
ミレーナには高い避妊効果が期待できるものの、それでも100%ではありません。1年間に妊娠する確率は約500人に1人と言われています。挿入直後には不正出血をみたり、生理の周期がずれたりしますが、日数の経過とともにやがて落ち着いてきます。また20%前後の方が無月経になるとも言われます。そして、位置の確認や効果を判定するため、使用3ヵ月以内、6ヵ月、あとは1年ごとに定期検診を行います。ただ長期間にわたり出血が続くとか下腹部痛が強いなどの様子が見られた場合は受診をおすすめします。
ピル(経口避妊薬)とはどのような薬でしょう?
現在、全世界の女性に幅広く受け入れられている避妊法です。ピルには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンが含まれています。毎日服用することで排卵が抑制され、子宮内膜が厚くなるのを防いだり、子宮頸管からの粘液を変化させて精子が子宮の中に入りづらくすることで確かな避妊効果が得られるようになります。
当院では、副作用が出にくく安心して使用できる低用量ピルを処方しています。はじめてピルを服用される場合は、生理の始まった日から1日1錠ずつ毎日決まった時間に28日間飲み続けます。22日目からの1週間のピルはプラセボ薬(偽薬)ですが、飲み忘れがないように休薬期間をおかず引き続き服用していただきます。このプラセボ薬を飲んでいる時には生理の出血があります。
ピルを使用するにあたっての注意点は?
ピルはホルモン剤ですから、特別な疾患をお持ちの女性は服用できないケースがあります。また、この種のお薬は多少血液を凝固させる作用を有するために、血栓の発症には常に注意すべきです。めったにあるわけではないのですが、ふくらはぎの痛みや手足のシビレ、むくみ、胸の強い痛み、激しい頭痛などをみたときには、血栓症(血管の中で血液が固まって、血管がつまる状態)の発症が疑われますので直ちに服用を止め、病院を受診して適切な処置を受けていただく必要があります。とくにヘビースモーカーの方では発症のリスクが高まると報告されています。
そこで、ピルを使っている間は、こういった副作用の予知を含め、以下に示すような検査を一定の間隔で受けていただくことが大切になります。
| 問診 | 血圧測定、体重測定 |
|---|---|
| 血液検査 | 貧血検査、肝機能、血糖、脂質(中性脂肪、コレステロール)など |
| 子宮がん検査 | 細胞診(頸がん) |
| 超音波検査 | 子宮、卵巣所見 |
| 乳がん検診 | 乳腺外来(外科) |
経口避妊薬を飲み始めた頃に、少量の出血や吐き気、乳房の張りなどを訴える方もいらっしゃいますが、これらの多くは、そのまま服用を続けているうちに自然に消失します。 お薬は夕食前とか、おやすみになる前とか、ご自分で大まかな時間を決めて飲んでください。また、うっかり忘れた際には、翌日に2日分を一緒に服用する対応でカバーできますが、それ以上空けた場合は出血が始まったり、効果が不確実になる恐れがありますので、その周期はほかの避妊法に切り替えてください。
(なお、避妊目的で使用されるピルは、病気ではありませんので健康保険の適応は受けられません。)
新しいピル(ミニピル)
元来ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含んだ薬ですが、最近、黄体ホルモン単独の錠剤(スリンダ錠)が発売されました。従来型のピルとは異なり黄体ホルモン一種の投与で、従来のピルと同様に排卵を抑え、子宮内膜が厚くなるのを防ぎ、頸管粘液の性状を変えることによって避妊効果が期待できます。今までのピルと比べ、血栓症のリスクがより少なく、喫煙者や肥満、高血圧、脂質異常症などを合併している方や、40歳以上の女性にも推奨度が高いとされます。
1シートは28錠(28日分)で、24錠の黄体ホルモン製剤と4錠のプラセボ薬から構成されており、はじめて飲む方は、生理の初日から順次服用を開始します。24日間続けた後、プラセボ薬(4日間)に切り替えると少量の出血を見ることもありますが、とくに心配はありません。主な副作用には、性器出血、月経異常、頭痛、腹痛、下痢、悪心などが挙げられます。
ピルの避妊以外の効用にはどのようなものがあるのでしょう?
ピルは元来、卵巣からの排卵を止め避妊の効果を得るわけですが、その副次的な効用として、排卵が抑えられるために機能的な生理痛(月経困難症)ばかりでなく、子宮内膜症の痛みにもその辛さを軽くする効果が期待できます。
そのほか一般に経血量が減りますので、出血量が多くて(過多月経)貧血に悩まされている女性にも有効ですし、生理が不順の方では周期が規則的になるといった利点も認められます。
妊娠を希望する場合は
ピルの服用を中止すると排卵も復活しますから妊娠は可能になります。ただ元通りの規則的な周期になるまでは妊娠は控えるのが望ましいとされます。長期にわたってピルを使用していた場合は、生理が再開するまでしばらくかかることもあります。
緊急避妊(アフターピル)ってどのような方法でしょう?
排卵日前後の危険な時期だったのに、ついうっかり避妊を忘れたり、コンドームが破れてしまったりして妊娠の心配があるときに行う緊急的な処置です。2011年5月から、わが国でも緊急避妊専用のお薬(ノルレボ錠)の発売が開始されました。このノルレボ錠には、女性ホルモンの黄体ホルモンが含まれており、服用によって排卵機能に急ブレーキをかけ排卵を抑えるか、すでに排卵後であったときには、受精卵の着床を阻止して妊娠の成立をくい止めます。性行為後72時間以内に1錠を1回で服用します。
お薬は早めに飲んだ方が良いのですが、あくまでこれは緊急の方法ですので、妊娠阻止効果は100%とは言えず、おおよそ81~84%と報告されています。そこで、日頃からきちんと通常のピルを服用するのがベターであることは言うまでもありません。